僕と君の物語
第一話『僕と新学期』
第二話『僕と隣人と居候』
第三話『僕と雨宮と父の電話』
第四話『僕とかえでと休みの日』
第五話『僕と登校と月曜日』
第六話『僕と夜と旅行計画』
第七話『』
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アルセリア様の「僕と君の物語」の五話目です。
帝國史書係 セイチャル・マクファロス
文・絵/アルセリア様 *1 / *2 / *3 |
*1 ▲ センパイセンパイセンパーイ。 お早うございますセンパイ。 朝ですねセンパイ。 朝ですよセンパイ。 私は、今起きました。 センパイはもう起きましたか。 いつものセンパイなら、あと35分後に起きますね。 ベッドに上に座りこむまでに37分ぐらいでしょうか。 今日はカーテンを開けますか? たまにしか開けませんものね、センパイ。 でも、是非ともまた開けて欲しいです。 あの窓を開けて、私に挨拶して欲しいです。 うん。 そうなったら、嬉しいなぁ。 嬉しいなぁ、嬉しいです、嬉しい、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい。 あぁ、幸せですねぇ。 私は今日も幸せです。 センパイのことを考えると、私はこんなに幸せになれます。 流石はセンパイですね。 感謝の言葉を捧げましょう ありがとうございますセンパイ。 ありがとうございますセンパイ。 うーん、直接お礼を言いたいです。 今すぐお礼を言いたいところです。 でもセンパイのお休みの時間を邪魔するわけにはいきませんよね。 我慢です。 我慢我慢。 センパイに迷惑をかけてはいけません。 迷惑をかけてはいけません。 センパイ、私は迷惑ですか? たまに不安です。 いつも不安です。 でも最近のセンパイは私に優しいです。 何故でしょうか。 いつも突き放されていたのに。 拒まれていたのに。 嫌われていたのに。 ちょっと笑ってましたけど。 そこが重要ですよね。 私が元気に話しかけると、どうやらセンパイはちょっと元気になるようなのです。 これは頑張らなければなりません。 私は元気じゃないといけません。 私がどう思われるかは二の次なのです。 よって、今の私のキャラを貫くしかないですね。 よくわかりませんが最近優しくしてくれますし。 一昨日も、私を背負ってアパートまで運んでくれました。 嬉しかったです。 うん、ほんと嬉しかったですよ。 嬉しくて、背負われた瞬間からアパートに着くまでずっと寝たフリしてましたけど。 怒られますかねー。 ばれたら怒られちゃいますかねー。 怒ったセンパイの顔も素敵ですとか言っちゃいましょうか。 そしたら照れてるセンパイの顔とか見れるでしょうか。 わー。 見たい。 見たいです。 これは是非見たいです。 …。 でも、怒るというのは嫌な感情ですよね? センパイ嫌な思いしちゃいますかね? しちゃいますか? なんだか、それはそれで楽しそうにしてくれそうではありますね。 うーん。 でも、これはいけません。 センパイの優しさを無駄にしてしまいます。 センパイが優しかったから、私は家に帰れたのです。 これが、真実なのです。 優しい。 センパイはとっても優しいです。 今、その優しさを一番受けてるのは、多分あまみー先輩ですよね。 あまみー先輩 現在センパイの家に居候中。 今日からは、センパイに背負われての登校になるようです。 私がとても幸せになった一昨日の出来事を、毎日繰り返すのです。 羨ましいです。 あまみー先輩が羨ましくて仕方ありません。 私があの立場を手にすることは無理でしょうけども。 体、弱くありませんし。 むしろ結構丈夫です。 むぅ、なんで丈夫なんですか私の体。 センパイを追いかけるには便利ですけども。 センパイに甘えることが難しいじゃないですか。 いっそ、足でも折っちゃいましょうか。 …駄目ですね。 これはセンパイに心配をかけてしまいます。 センパイに心配をかけるのは、よくありません。 やはり、ああいった体の弱さは元々でないといけません。 心配でなく同情でないと、先輩の心に負担をかけてしまいます。 はじめから、かわいそうであることが重要なのです。 かわいそうな人でなくてはいけません。 わかりやすくかわいそうであることが重要です。 だって、センパイって、 かわいそうな人が、好きですもんね。 海ちゃんも、かわいそうですよね。 実の両親を、失っているんですから。 あまみー先輩も、かわいそうですよね。 あんな体に、産まれてしまって。 その点、私の体は丈夫です。 両親も健在、私を愛してくれてると思います。 全く、私はなんてついてないのでしょう。 羨ましい。 あの二人が羨ましい。 羨ましい。 二人は、きっとセンパイに愛されているのでしょう。 羨ましい。 きっと愛されない私は、あの二人が羨ましい。 羨ましい。 羨ましい。 羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい。 羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましい羨ましいです。 私も、かわいそうになれないでしょうか。 |
*2 ▲ 僕と君の物語 第五話 『僕と登校と月曜日』 月曜日である。 そう、今日は月曜日である。 この意味がわかるだろうか。 いや、そのこと自体に意味があるわけじゃない。 しかし、月曜日であるということに重要な意味を感じる人は、まぁ少なくはないだろう。 月曜日、それは日曜日の翌日。 日曜日の翌日、それは休日の翌日。 つまりそれは、平日ということだ。 つまりそれは、学生ならば学校に行かなければならない、ということなのである。 例外として、祝日の場合もあるだろう。 だが、今週は違う。 普通に平日なのだ。 つまり、僕は学校に行かなくてはならないのである。 うん、まぁ、つまり「学校行きたくねぇなぁ」という話なんだけどね? 勘違いしないで欲しいが、別に、僕は学校が嫌いなわけじゃない。 勉強はそれ程苦痛に感じないし、同年代の人ばかりが集うあの空気は嫌いではない。 まぁ、進学校故にイジメやら授業中に騒ぐような連中がいない、というのも大きな要因ではありそうだけども。 …うん、中学の頃のことは忘れよう。 今重要なのは、何故僕が、今日学校に行くことについてこれほどまでに熟考しているかという点だ。 まぁ、 簡単にいうと、 雨宮の件なのだが。 いやほら、先日はその場の勢いで覚悟してしまったわけだけど、今日からアレを背負って登校しなきゃいけないわけだ。 背負っていく、しかなさそうなのである。 昨日、雨宮に車椅子はどうかと提案してみたりはした。 が、『なんだか周りから同情の目で見られそうなので嫌です』、という意見によって却下された。 まぁ、その気持ちはわからないでもない。 しかしどうだ、雨宮。 毎日同年代の女子を背負って登校する男子高校生って、どんな目で見られるんだろうな。 ついでに毎日背負われているおまえも、かなり異様だしな。 同情以外の何かよくわからない目線が向けられそうな気が、凄くするな。 そのことは、わかっているか? …。 …わかってるんだろうなぁ、自分と他人を犠牲にしてネタに走るタイプだし。 …。 …よし、諦めた。 とりあえず背負っていって、以降はその場の流れに任せよう。 いつまでも、玄関前で固まってるわけにもいかないしな。 よしっ、と僕が立ち上がると、食事を終えて出てきたのであろう雨宮がやってきた。 制服は既に着込んでおり、手には鞄も持っている。 登校の準備は万端だ。 「お待たせしました」 「おう、それじゃあ行くか!」 僕は気合を入れるため、ぱしんと顔を叩いた。 「朽木さんはドMですね」 「いや、気合を入れただけだよ!?」 気合を入れた先には恐るべき評価が待っていた。 まさか、今のモーションでドM認定されるとは。 「五月の蝿のように五月蝿いですよ、朽木さん。まだ四月だというのに自重できないんですか、この蝿が。ライターをセットした殺虫剤でも振り掛けられたいんですか?」 「火炎放射じゃねぇか。殺意がガチすぎるわ」 出鼻を思いっきり挫かれてしまった。 見事な殺意カウンターである。 「手加減は相手にとって失礼になることもあると聞きます」 「それは何らかの決闘を行う場合に限るんじゃないかな」 「でも朽木さんってデュエリストですよね」 「僕にデュエルと叫んでカードゲームを開始した経験はねぇよ」 「あの作品のアニメ、ゲーム外で人に向けて火の球放ちましたからね」 「マジか」 そんなことになってたのか、あれ。 バイクに乗りながらカードゲームやってるという噂は聞いたことあったけど。 完結したんだっけ? 「それを知らないということは、どうやら朽木さんはデュエリストではないようですね」 「基準がさっぱりわからんが違うな」 「朽木さんにはがっかりです」 「好感度の変動理由がおかしすぎる」 「関係が『好意的』から『天敵』になりました」 「…おまえ、僕に好意的だったのか」 「…」 「…」 「言葉の綾です」 「そうかい」 どうやら、単なる嫌がらせ対象とか、ネタ行動の標的というわけでもなかったらしい。 誰にでもそんなことする奴とも思ってなかったが、少し安心した。 「…お二人とも、仲がよろしいですね」 海が玄関に出てきた。 なんともじとりとした目でこちらを見ている。 …ふむ、そろそろ登校しないとまずいか。 走る程ではないけども。 「たった今、天敵になったがな」 「天に定められた敵と仲が良いとは、随分ロマンチックですね」 「解釈が前向きすぎる…」 「全く、運命の神も余計なことをしてくれます」 「前向きかと思っていたら、前方には闇が広がっていただと…」 「これ以上二人の仲が進展するようなら、私は神すら殺してみせます」 「あまりの理不尽に神様が哀れすぎる」 そしてうちの妹が恐ろしすぎる。 神の上位に立っているのかこのシスター。 「ふはははは、愚かなる人間よ。この我を殺すとほざいたか!!」 「神、おまえかよ!」 雨宮が、表情をろくに変えずに何かほざいていた。 どうしよう、神様マジ弱い。 「できるものならば、やってみるがいい!!」 「できるよ! 即死だろうがおまえ!!」 「我を殺せば警察に捕まるぞ!!」 「いやに現実的だ!!」 「なん…だと…」 「動揺してんじゃねぇよ! ノリいいな、おまえら!!」 「チャドの霊圧が…消えた…」 「なんでだよ! なんでチャドが犠牲になってんだよ! どんな因果関係だよ!!」 そして何故いつの間にか動揺する側にまわってるんだ、雨宮。 「チャドは犠牲になったのだ…」 「チャドェ…」 「ジャンプ大好きですね君ら! そしてよく発音できたな!!」 「ふっ、朽木さん、これはドゥエリストとしての嗜みです」 「今度は悪魔城ネタだと!? なんてわかりづらいネタを!!」 ちなみにドゥエリストとは、とあるキャラが「ジャンプ」+「ジャンプキック」の連打による高速変態機動を行う際に「ドゥエドゥエドゥエ」と発音しているように聞こえたことから、同様の機動を行うキャラ達をそう呼ぶようになったとかなんとか。 詳しくは良く知らない。 …はっ、これも『ジャンプ』か!? 「さて、兄さんのツッコミ力検定はともかく、そろそろ学校に向かいましょう」 「そうですね、無駄な時間を使いました」 「そうだね、無駄な体力も使ったよ、こんにゃろう」 「朽木さん、この世に無駄なことなんて何もないんですよ」 「おまえ数秒前の自分の台詞思い出してみろ」 「チャドの霊圧が…消えた…」 「おまえのあだ名、今日からチャドな」 「失敬な、ぶち殺しますよ」 「怖いよ!?」 「ほら、とっととしゃがんで下さいよ、朽木さん。私がおぶされないじゃないですか」 「…あー、はいはい」 時間もないので、僕は素直にしゃがみこむ。 なんだこの状況。 「とうっ」 「ぐふっ」 雨宮が無駄に勢いをつけてのし掛かってきた。 バランスは何とか崩さなかったが、少し息が詰まった。 「お、おまえな…」 「け、けほっ、かほっ」 雨宮が思いっきり咳き込んでいた。 胸を強打したせいらしい。 「無茶すんなよ!?」 「く、朽木さん…いままで…ありが、とう…」 「息絶えただと!?」 「いえまぁ、そこまで脆くはないんですけどね」 「ですよね!!」 ちょっとマジでびっくりしたけどな。 一度竹中に投げつけたことあったが、よく無事だったなこいつ。 「あの、二人とも、そろそろ本当に急いだ方がよさそうですよ」 「…そうだな、これ以上ぐだぐだしてると、本当に走らないといけなくなる」 「そして私が酔って吐くのです。主に朽木さんの頭頂部に」 「ぶん投げるぞてめぇ」 「ほらほら、行きますよ朽木さん」 「…へいへい」 僕は海が開けたドアから家を出る。 現在両手が使えない状況なので当然のことだが、玄関は開けるのも閉じるのも海の役目だ。 その辺は何も言わなくとも海はわかってくれていた。 できた妹である。 |
*3 ▲ 「良い天気だねぇ」 僕は空を見上げて呟く。 よく晴れた、綺麗な青空だった。 「何故曇天が悪なんでしょうね」 「見た目じゃね?」 「…なるほど」 納得したらしい。 そんなことを話していると、最近よく聞く声が僕の耳に届いた。 「センパイセンパイセンパーイ! おはようございます、今日も良いお天気ですね、お元気でしたかセンパーイ!! あ、海ちゃんとあまみー先輩もおはようございます!!」 言い換えよう、めっちゃ元気な声が僕の耳に響いた。 「おはようございます、かえでちゃん」 「…おはよう、今日も元気だな」 「…おはようございます」 僕と海がやや遅れて、雨宮が平然と挨拶を返す。 流石である。 こうして、4人揃ったところで僕らは学校に向けて歩き始めた。 なんとも目立つ集団である。 いつかこの町の名物とかにならないだろうな。 「はい! 今日も私は元気ですよ! センパイにも分けてあげたいくらいです! というかもう、分けてあげますよ!!」 「いや、どうやってだよ」 「口移しとかどうでしょう?」 「死ねよ」 僕は反射的に答えていた。 「手酷いお返事―っ!? 流石センパイそっけないですね! しかしそれもセンパイの愛として受け取りますよ! そう、これはセンパイからの、「もっと自分を大切にしろ」という愛の言葉なのです!」 「正確に訳すとこうなってしまいますね「もっと自分を大切にしろ。死ね」」 「句読点一つを挟んだ心の変化が酷いなおい」 「死ぬことが自身を守ることに直結するレアケースですね」 「そこまで追い詰められた時点でかなりきつい人生だな」 「あんたなんかに好きにされるくらいなら、舌を噛み切って死んでやるわ! という奴でしょうかね」 「あれ、ほんとに死ねるのかねぇ」 「激痛によるショック死だとか窒息死だとかどこかで聞いたことはありますね…でも、無理じゃないですか?」 「どっちにせよ尋常じゃなく辛そうですし、まぁあまりの苦悶の表情に手を出す気は失せそうですが」 「あ、それはですね、ごく稀に死ぬこともある、という程度みたいです! 主に窒息死で!」 「何故そんな知識を持っているんだ…」 しかし物騒な会話である。 朝の登校中にする話題ではない。 「センパイ、もし私が死ぬ時は、一緒に死んでくれますか?」 「やだよ!」 「ふっ、その時は私もご一緒しますよ」 「何がどうなって三人で心中せにゃならんのだ…」 修羅場にも程があるわ。 「兄さん」 「…なんだ?」 「私は生きます」 「あ、うん、そうしてくれ」 「それが、兄さんの最期の願いだと思いますから…」 「死なないよ!?」 やだ、三人心中することになってきてる! やめて! マジやめて! 「心中が駄目なら三人で旅に出ましょう!」 「死ぬよりは遥かにマシだけど一体どこへ!?」 「熱海へ」 「旅行だ! 旅は旅でも旅行だ!」 「あの、ちょっと待ってください、旅行なら私を含んでくれてもいいんじゃありませんか?」 …行きたいのか? いや、本当に行くんだったら別の所にしねぇ? 別にいいけどさ。 「なんだか急に旅行の話題になってきましたが…そういえば今年、私と朽木さんは修学旅行ですよね」 「…あー、そんなイベントもあったねぇ」 どこ行きだっけ。 去年は奈良だったか。 確か移動は新幹線で。 「私の体は、もつのでしょうか」 「…いや、まぁ、そこは頑張れとしか言えんが」 「むしろ頑張らないことが延命措置な気もしてきますね」 「いちいち命がけだな、おまえは」 「まったく、羨ましい話ですよね」 「何が!?」 かえでから驚きの発言が出た。 この命がけ人生の何が羨ましいというのか。 「兄さんと旅行に行くことが、じゃないですか?」 「あ、ああ…そっちか」 「え、あ、はい!」 …。 いや、なんで動揺してんの? マジで羨ましいと思ったとかじゃないよね? 結構悲惨だと思うよ? 雨宮のキャラだからしのげてるだけで。 「いざという時には朽木さんに運んで貰うとしましょう」 「当然のように言うなぁ…」 まぁ、いいけどさ。 「寺を巡る時等は常に朽木さんにおぶさるのです」 「旅館で休んでろ」 「それでは修学旅行にならないじゃないですか!」 「僕の修学旅行が強化合宿になってしまうだろうが!」 「心身共に鍛えられますよ!」 「望んでないよ!」 鍛えられそうだけど! 無駄に! 「というか、流石に車椅子使おうぜ。押してやるから」 「…あんまり好きじゃないんですけどね、車椅子」 「この状態も大概だと僕は思うんだが…」 今も僕は、雨宮を背負いながら移動中である。 シュールすぎる。 そして夏が怖い。 何の鍛錬だ。 「ネタ臭が混じるからいいのです」 「芸人すぎる…」 まぁ、笑い話で済むというのは救いであるのかもしれない。 こんなもの、本人にしかわからない気分なのだろう。 「修学旅行はさておき、一度四人で旅行に行きたいですね!」 「熱海へ?」 「熱海はもういい」 「なんと失礼な、熱海に殺されますよ?」 「僕の人生に何が起こるんだ…」 「…四人、は、無理でしょうね。多分保護者は必要だと思います」 「多分、私が電車移動無理だと思いますから、車も要りますしねー」 車か、GWに旅行とかになったら悲惨なことになりそうだ。 主に渋滞で。 「…でもお母さん、運転できないんですよね」 「免許だけ持ってるらしいんだがな…」 「スリル満点ですね、それは」 それはそれは見事なゴールド免許である。 運転してないから事故りようがない。 「あ、うちのお父さんとお母さんは多分休日も仕事です!」 「私は…この居候の件の話をまだしっかりしてないんですよねぇ」 「おまえ、いきなりそんな衝撃の事実を…」 説得できてなかったのか。 いや、まぁ思い立った当日に来たぐらいだから当然かもしれんが…。 「…となると、父さん?」 その時、海が恐ろしいことを口にした。 「…」 「…」 「ほう」 「センパイのお父さんですか!」 「…いやまて、それはどうだろう! そこまでして旅行に行くのはどうかな!?」 なんとなく『行く』という方向で話まとまってきてたけど、 流石にそれは――!! 「…父さん、呼びますか?」 |
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