12172100 水遺跡 Remains of water を陥落せよ大作戦(冒険記 番外編)    メニューへ戻る
レン様の作品集の一つです。
 
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 帝國史に残るであろう、水属性と風属性の雪輝都を巡る壮大な決戦であります。
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 文/レン様

*序 *1 12172100大作戦・準備の巻*2 12172100大作戦・戦闘の巻
*序  ▲
 
12172100 水遺跡 Remains of water を陥落せよ大作戦
 
 その日の夕日が月読帝國から姿を消し、星がちらほら輝きだした夜。
 白い2重封筒が、月猫団の団長からレン宛に送られてきた。
 何故月猫団の団長からだと、わかったというと、月猫団のエンブレムマークに肉球という非常に判りやすい印が封書に書いてあったからである。
*1  ▲
 
 1:12172100大作戦・準備の巻
 
 その日の昼間、陛下から賜った依頼は、遺跡への用命であった。
 今、遺跡は水であり、月読帝國帝都王宮と相対する方向にある遺跡への扉は、水属性のウォーター・ゲートに変化していた。
 
 この扉は、遺跡と繋がっており、遺跡の属性に反応して、その色を変えるのだ。
 今は、青。なので、水属性の独占状態というわけである。
 
 風属性の緑のウィンド・ゲートになるのは稀であり、遺跡への用命・討伐は体力を余分に使うため、私にとっては、厄介なものであった。
 
「あー。遺跡か。遠いな。」
「だったら、帝都で美女を探しませんこと。」
「ヒビキは今、地酒作りが楽しいからな。」
 依頼を貰い受けた帰り道。女性3人は、並んで広場の大通りを歩く。
 
「それも、そうだな。今、遺跡は水であり、そのうち、お隣の猫ちゃんがゲートを開いてくれるかもな。」
「そうですわ。私たちは用命なので、急ぎではありませんし……」
「備蓄をするにしても、販売するにしても、美女は持っていて損はないから。」
 ヒビキとミナトは、お互いに顔を見合わせて、ねぇー。と云った。
 
 そうと決まれば、3人の行動は素早い。各所手分けして、帝都の草むしりに励む。
 帝都の草といえば、美女草が採れることで、有名である。
 雑草・薬草あれども、この草だけは他の地域では採れないのだ。
 が、劇毒草としても有名だ。
 この毒にあたると、どんなツワモノの冒険者も一口で瀕死を負う。
 しかし、毒を抜けば、美女草ほどツワモノの冒険者に愛されている草は無いだろう。
 体力を最大まであげることが出来る。
 ヒビキは、この草を使って酒を造ろうというのだ。
 
 帝都の夕日が傾き消え行き、白い月が建物の向こうから顔を見せ始める夕暮れ時の時間。
 3人はそれぞれの成果を見るべく、レンの鑑定を待った。
 
「うん。いい感じで美女草が採れたな。コレなら、8個、おいしい酒が造れそうだ。」
 全部の草を鑑定し終えたレンがいう。
「では、早速調理に取り掛かりますわ。」
 そういうと、ミナトが種類別に分けた草の中から、毒の無いものを調理していく。
 毒のあるものは、レンが毒抜きの処理をして、それをミナトに渡した。
 ヒビキが料理し終えたものは、レンが受け取る。
 3人がいいリズムで作業をこなしていくのだ。
 レンが月読帝國に来て出会った魔法獣のヒビキとミナトとは、息の合ったパートナーなのだ。
 
「あれ? 瑞穂さんだ。」
「え? ………瑞穂姐さん………」
 ミナトの言葉にレンは顔を上げて、先を見る。
 王宮広場の大通りを、瑞穂が人の波にまぎれて歩いていく。
 目線でその姿を追っていくと、ある場所で、瑞穂の姿が消えたのだ。
「あのあたりには、月猫亭があるのですわ。」
 地酒の準備を終えたヒビキが顔を上げ、調理した美女草をレンに手渡しながら云う。
 レンは差し出された美女草料理を無意識に貰いうける。
 視線は瑞穂の居た先を見ていた。
 
「ちょっと、行ってみよう。」
「そうだな、日ごろのお礼もしたほうがいいだろう。」
「そうですわね。」
 レンの言葉に、ミナトとヒビキが頷く。
 レンは、大量の料理を抱えて、早足で広場の人通りをかいくぐる。
 
 瑞穂が消えたあたりはやはり、月猫亭であった。
 マキャラウニィヾ(>∀<)ノシの掛け声を受けて店内に入る。
 しかし、瑞穂の姿は何処にも無かった。
 月が出はじめたばかりの時間帯である。人は居らず、月猫亭はがらんとしていた。
 一足違いかと帰ろうとして、入口に向かうと、扉脇に設置されているコルクボードを見ると、綺麗な流水の文字で、「件の件承りました。 瑞穂」というメモ書きがピンで留められて、貼られていた。
 
 くだんの件……うけたまわり……ました?
 レンは心の中で、メモに書かれた文章を読む。
 
 どういう意味だろう。
 瑞穂姐さんが日も傾いた夜の時間帯に歩いているのも珍しいが、月猫亭に寄るのも珍しい。
 旦那様であるコウ兄ぃが来るのなら兎も角として、瑞穂さんが月猫亭に用事があるとは、考えにくい。
 が、用事があるとするならば、このメモ書きを貼りに来た。のだろう。
 
 ……コウ兄ぃの言付けを誰かに伝えるためだろうか?
 いやいや、コウ兄ぃなら直接自分で来るだろう。簡素簡潔。回りくどい事をする人ではない。
 
 ヒビキとミナトの方を振り返ってみるが、2人も、不思議そうな顔でそのメモを見ていた。
「しょうがない。帰るか。」
「そうですわね。日が暮れて変な人に絡まれても困りますわ。」
「瑞穂さんは有り得るだろうが、レンが絡まれることはないけどな。」
「むぅー。」
 レンは頬を膨らませ口を尖らせる。2人はそんなレンの様子を楽しげに笑いながら見た。
 もう。帰るぞ。といいながら歩き始める。
 レンたちは、月猫亭を後にした。
 
 自宅兼鈴猫調査会の事務所に戻ると、手紙が届いていた。
 早速、封を開けて、手紙を読む。
 
 ― 12172100 魔猫印の肉球 ―
 
「…………なんと読むんだ?」
「え〜と………猫語勝手に翻訳機でスキャンしてみましょう。」
 そういうと、レンが手に持っていた手紙を受け取り、ヒビキが事務所の扉脇の棚にあるスキャナの場所へと行く。
 スキャナに文章を置くと、したの紙に翻訳後が印字されるというハイテク機器なのである。
 
 ―【雪輝都攻城戦勇士募集案内】
 こんばんにゃ。我輩月猫団の悪魔召喚師と申しまする。
 この度、帝都-雪輝都間をつなぐゲートを確保したく雪輝都遊撃隊を結成したくご案内申し上げまする。
 現在雪輝都は連携の強い水属性によって要塞化しておりまする。
 この状況を打破すべく本日21:00より風属性による一斉攻撃を予定しておりまする。―
 
 という言葉に翻訳された。
 
「なるほど、日時と時間とあの肉球には、こんなにもたくさんのメッセージがあったのか。」
 レンは、ほほう。と感嘆し、その後にやりと笑った。
 
 もともと、悪魔猫さんとはブースがお隣同士であり、同じ風属性なのである。
 レンが、ねこちゃんであったならば、即座に友達になっていただろう。
 気心は知れていながら、中々結託して遊ぶことは無かった。
「声をかけてくれたというのは、嬉しいものだな。」
 レンはころころと笑いながら云う。が、声色は明るさを含んでいた。
 
 お祭りは大好きである。
 派手な花火は見ているよりも、爆音轟く場所で見ていたい。
「悪魔猫さんと、派手に遊びたいものだな。」
「ですわねぇ。お隣さんなのですもの。」
「いいじゃないか。こういうのは、好きだな。」
 3人の意見は一致した。
 
 では、参加表明の手紙を書こうじゃないか。
 ― 花火の打ち上げ、参加します。 ―
 
「そうとなれば、武器が居るな。」
「ですわね。」
「広場に行って手分けして、耐久のあるものを探してこよう。」
 気分はお祭りに向かって、躍動している。
 先ほどの、美女草は、自宅の保管庫にしまっておき、再び広場へと舞い戻る。
 それぞれの店先は、照明をつけていた。
 夜になると品物を出している店には明りが灯る。
 なので、どこの店が開いているのかが、はっきりとわかるのだ。
 
 広場に行って、耐久のある武器を買って、ヒビキに鍛えてもらった。
 防具を鍛えるのには体力が要る。ヒビキに供給してあげないと、バテてしまうのだ。
 仕方ない。先ほど毒抜きをした美女を食べるしかないな。
 備蓄用の食用美女草を持ち出して、さらにトンテンカンテンと鍛え上げた。
 
 届いた手紙を読んだのが、20時前後、武具が整ったのが、20時20分であった。
 
「あとは何が居るかな?」
 武具をいつものから遺跡攻略用に着替えたあと、フーと一息ついて考える。
「食料は持っていったほうがいいし、万が一の死亡に備えて、蘇生草も持って行ったほうが、宜しいかと思いますゎ」
 ヒビキがいつものように、のんびりとした口調で云った。
「レンよ、魔力も消費するかも知れないから、魔力の実も持っていったほうが良いかもな。」
 そういうと、ミナトはレンに向かって魔力の実を放り投げた。
 質屋に売っているのを見つけたミナトが買ってきてくれたのだ。
 受け取ると、ありがとう。とレンは云った。
 
 よし、瓢箪・食料は4・蘇生草2・魔力の実1・予備の武器が1・皮の水袋1・で、10つを揃えた。
 体力は、7であったので、自宅で休みをとることにした。
 自宅の時計を見ると20時45分である。
 
「あと、15分後か………追って手紙が来ると思うので、それまで、遺跡で待機だな。」
「5分前には、自宅を出たほうがよろしいかと思いますわ。」
 ヒビキの言葉に3人は頷いた。
*2  ▲
 
 
 2:12172100大作戦・戦闘の巻
 
 5分前に遺跡の前についた。
 私とヒビキとミナトが遺跡の壁面にうずくまり様子を窺う。
 が、人の気配はしなかった。
 
 奇襲作戦のため、手紙を出してくれた悪魔召喚師さん以外に誰が、参加するのか判らなかった。しかし、風のメンバーの顔ぶれは、頭に入っている。
 間違えて攻撃することも無い。
 
 今一度、武具と食料の確認と、時間の確認をする。
 遺跡群の上空を見上げると、月読の空に星が輝く。故郷の空も、こんな風だったな。と、心は妙に、落ち着いていた。
 
 そんな時、手紙屋が闇にまぎれて、やってきた。
 レンは手紙を受け取ると、手紙の差し出し人は、判っていたので、手持ちのナイフで急いで封を開ける。
 
 ― 雪輝都遊撃隊への御参加ありがとうござりまする。
 現在我輩の2キャラを含め4名の方に御参加いただいておりまする。
 
 それでは戦場で! グットラックd(・∀・) ―
 
 手紙屋から受け取って読み終わった時間は、20時58分だった。
 
「………私を含めて4人か………」
 レンが、そう呟いた、まさにその時、遺跡の左側より、ドゥゥゥゥーン。という音が聞こえてきた。
 3人の内の誰かが、遺跡群を攻撃しているのだ。
 城壁は砕け散り、砕けた小石は舞い上がる。
 
「誰かが最初の攻撃を仕掛けたのだな。」
「レン、私たちもそろそろなのですわ。」
「今、遺跡の警護は、居ない。今のうちに遺跡の耐久を削らないと。」
 
 3人はお互いを見て、頷く。レンが最初に立ち上がり、攻撃を仕掛けた。
 レンが魔法を詠唱しミナトが剣で攻撃をしていく。
 その2人の一歩後ろで、ヒビキが薄い膜を張り、皆に小石などの障害物が当たらないようにした。ヒビキは2人の背中の見張りも兼ねて、背後に神経を使う。
 体力が消耗すると、ヒビキがサッと食料を取り出し渡す。
 そして、レンとミナトが遺跡を攻撃した。
 
 そんな感じで、最初の攻撃音から遅れること2分。21時02分に、私たちは攻撃を開始した。
 6度連続で、魔法を織り交ぜながら攻撃を開始する。
 開始10分で、遺跡の耐久は、162,997まで激減していた。
 最初が255,000のことを思えば、約3〜4割の耐久を殺いだことになる。
 それぞれが、攻撃を仕掛けているのがわかる。
 そこかしこで、小石が砕け、岩が足元に転がる。
 
 しかし、奇襲が順調に行ったのは、ここまでだった。
 21時10分ごろ、異変に気づいた水属性のヴィードさんが、遺跡の防衛の為に、遺跡の警護に入ったのである。
 
「あ………」
 レンが腕を横にして、2人を制す形で合図を送った。
 3人は上部が砕けた遺跡群の岩の影に座るような格好で身を低くして隠れた。
 
 この水属性の遺跡群攻略に際して、絶対に死亡はしないことを心がけていた。
 体力がいかほどか分からない警護者を相手には、戦えない。
 蘇生草を持ってきては居るが、死亡は時間のロスになる。出来るなら避けたい。
 
 如何するべきかと様子を窺っていると、闇夜にまぎれて目に見えないスピードでヴィードさんに向かっていく影があった。
 身軽に風をヒュンと切り、アッと思ったときには、ヴィードさんが片膝を地面につけ肩を手で押さえていた。
 痛みで顔が歪む。きっと、肩に負傷を負ったのだろう。
 傷を負わせた者は、足音もさせずに、散乱している岩の陰に隠れた。
 
 その時、後ろの左側から再び遺跡を攻撃する音が聞こえた。
 レンは後ろの音に我に返り、前を見る。ヴィードさんが遺跡の脇に行くのを見届け、身を低くしながら、横へと移動を開始した。
 
 闇夜にまぎれた者が、行ったであろう先の遺跡群が轟き音と共に、岩と化し砕け散っているのである。風の強者であろう。破壊力はレンの数倍はあった。
 
「私たちが行こうとしていた先へ、行ったようだ。私たちはあちらへ行こう。」
 レンの言葉に、あたりに人が居ないとこを確認すると、3人は再び移動を開始した。
 レン達は最初に攻撃が行われたであろう遺跡群の左方まで来ていた。
 ここも、破壊力がレンより数倍も上である。
 岩は砕け散り、小石となって綺麗に落ちている。強くて且つ遺跡の破壊も念入りにしてある。クリティカルヒットが多ければ多いほど、遺跡群は小石と化すのだ。
 そして、この惨状を見て、レンはある人物の顔が思い浮かんだ。
 
「…………あ! ………っっと。」
「どうしたのですかぁ?」
「なんだ。」
 レンの場違いな大声に、ヒビキとミナトがビクッとして何事かと声を掛ける。
 
「瑞穂姐さんだ!」
 レンはヒビキとミナトの顔を交互に見ながら、小声で云った。
 レンの言葉にヒビキとミナトはレンの云いたいことを察したようだ。
 
 夕暮れの月猫亭のメモ書き。
 あれは、瑞穂さんが、月猫団の団長である悪魔召喚師さんに向けて書いたメッセージだったのだ。
 月猫亭では、月猫団の会議が開かれる。秘密の暗号の返信を書いて貼って置いても、アレでは誰に向けて発信したのか、当事者で無いと分からない。
 多分、レンが広場で美女草探しをしていたときに、瑞穂は既にあの手紙を読んでいたのだ。
 
「よく考えれば瑞穂姐さんは、風属性なのだ。この作戦に関与していても不思議なことではない。」
「なるほどですわ。」
「それで、あのメモなのか。」
 3人は納得顔で大きく頷いた。
 
 瑞穂が攻撃したであろう場所は、平らになり、綺麗な道が出来ていた。
 レンは見通しが良すぎるな。と苦笑いを浮かべながら、その場所を斜めへと急いだ。
 攻撃対象から僅かに外れた岩石の影を利用しながら、警護団に見つからないように小走りに駆け抜けた。
 
 21時15分。遺跡群から轟音がしなくなった。
 それどころか、逆に遺跡群が修復を見せ始めた。水属性の自己防御作用が投資によって働いたのだ。
 
 その様子に、レンは戸惑った。
 ゲリラ戦の為に、味方の行動がしっかりと把握できていないのだ。
 ひょっとして、仲間は負傷したのだろうか。
 自分も食料がつきかけている。他の3人も負傷又は食料の再補給の準備をしているのかもしれない。
 
 3人は最初のように、岩陰に背を預けてうずくまり、あたりの様子に神経を尖らせた。
 21時20分。遺跡の警護にジャッジさんの姿を発見した。
 ここは、自分が出て行った方がいいのだろうか。
 レンがヒビキとミナトの意見を聞こうかと思った矢先、先ほどと同じように、誰かが闇に紛れて、猛スピードで駆け抜ける姿を見た。
 そして、駆け抜けた者を追うように、岩から飛び出した人が居た。
 しかし、走り去った時マントがふわりとなり、その顔を見ることは無かった。
 一瞬の出来事であった。
 
「レン、もう食料がありませんわ。」
「でわ、体力が回復するまで、一端の休みを取ろう。」
「こんなに、連続で戦ったのは初めてだ。」
 ヒビキの言葉に、3人はそのまま、岩の影で休息を取った。
 その間も、爆音が途切れることは無かった。
 
 休憩して20分。
 レン達は再び行動にでた。魔力も半分回復していた。
 が、歩き出して僅かに数分後、不幸にも呪われた血に感染している、みそさんに出会ってしまった。
 
「ここは、私が!」
 そう云ってヒビキが小走りに前へ出て、みそさんと対峙した。
 闇の属性には、【蘇生治療】が有効である。
 光が放たれ、みそさんを貫き焼き尽くした。
 
「ゴメンね。みそさん。」
 気にはなるが、遺跡の防御数は、31243であった。
 あと、約2割の遺跡群を破壊すれば、ここは風属性の手に落ちる。
 
 しかし、みそさんと別れてから、先を急ぐが、先ほどのように爆音は聞かれなくなった。
 所々の小規模の音は聞こえる。
 時計を見ると、21時40分であった。
 
 素早く回復したヴィードさんとみそさんが連携して遺跡の警護にあたっているのである。
 他の3人も思うように、遺跡の耐久を削ることが出来なくなっていた。
 連携の水。と云われる所以がここに来て、分かったように思う。
 
 この小康状態に、悪魔召喚師さんと瑞穂姐さんの様子も気になる。
 そして、あのマントの人は、悪魔召喚師さんの飼い主と目されるヴィクトルさんであろう。
 我輩に飼い主はいないのでありまするぅー。という悪魔召喚師さんの声が聞こえてきそうだ。
 
 レンは笑いを噛み締めた。
 戦場の場所においても、少しだけ余裕があるのかもしれない。
 心強い味方の正体が分かったからだ。
 それに、遺跡の耐久も16136と着実に減っていた。
 
 21時48分に遺跡の警護者が居なくなった。
 レンが最後の力を絞って、攻撃をした。遺跡耐久は457であった。
 
 レンが少し息を整えている間に、3人がかなりの耐久と警護者を撃破したのであろう。
 ここまでくれば、レンの仕事も終わりである。
 
 21時49分。
 破壊された遺跡の入口から短い道の先にあるゲートが緑色に変わった。
 レン達が遺跡についたときに、待機していた遺跡の入口付近のゲートである。
 これが、緑色に変わったということは、風属性の性質を帯びた遺跡に変わったことを意味していた。
 
 最後に遺跡を占領したのは、この首謀者であり発起人である悪魔召喚師さんであった。
 雪輝都は風属性であり、レンは遺跡の宿泊施設で深い眠りに落ちたのであった。
 
 
 こうして、12172100大作戦は終わったのであった。
 
 物語に登場の方々、レンには分からない場所でのご支援の方、占領後の投資・警護された風の方々お疲れ様でした。

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