引退者の街「シェーラキ・ホンナク」   戻る
 とある秘密の場所に「シェーラキ・ホンナク」と言う街があります。
 何らかの魔法の力で何不自由ない穏やかな生活が出来る街です。

 理想郷と言っても良い街ですが、ここに住めるようになるには容易ではありません。
 精霊に認められた物が行く事が出来ると言われていますが、その定義がはっきりと決まっておりません。

 今の所、分かっているのは、強大な力を持ちすぎてしまった英雄、改心したが罪も力も大きすぎた改心者、ひたすら自分を犠牲にして周りを助けた奇人。
 ざっとみて「人の世に住めなくなってしまった者」が主な「移住権が有る者」だと言う事です。
 中には理不尽な理由で死んでしまった人などもチラホラいるそうです。

 この街に行く事を決定すると「肉体改造」が行われます。
 身体がドロドロに溶け、その者が「最も好みと思われる女性の姿」になります。
 これは男女ともに同じです。
 男でも女でも「最も好みと思われる女性の姿」になるのです。

 女性の姿ではありますが人間の女性とは違います。
 永遠の若さを保ち、怪我や病気などに罹らず、体臭も無駄毛もありません。

 膣がある為、性行為は可能ですが、卵巣が無いため子供はできません。
 感度もかなり良い方だそうです。

 本当ならば、もっと別の姿になっていた可能性もありました。
 しかし、この街に最初に住むことになった英雄が精霊と協議した結果こうなったのです。

 老いた英雄に精霊は言いました「この街に住むならば若返った方が良いか?」と。
 英雄は言いました「どうせならば、全く違う姿が良い」。
 精霊は訊きました「それはどんな姿ですか?」。

 英雄は答えます「どうせならば、若い娘がいいね。それも自分好みだ」。
 精霊は言いました「ここは引退者が住む予定の街。繁殖されると困ります」。

 英雄は言います「ならば子供を作れる機能は外してくれて構わない」。
 精霊は答えます「そうですか。ならば生殖系の機能は無い姿にしましょう」。

 英雄は言いました「まってくれ。子供が出来なくなっても良いが性感が無くなるのは寂しすぎる」。
 精霊は訊ねます「それではどんな姿がよろしいので?」。

 英雄はニヤリとほほ笑むと答えました「自分好みの女の姿で性行為可能! 感度は良くしてくれ。もちろんずっと若い姿を保ちつつだ。さらに言えば体臭とか無駄毛とか無しの方向で頼む」。
 精霊は頷きました。

 英雄はさらに続けます「これからここに来る連中はみんな同じ条件にしてくれ。男も女も全部美女にしてしまえ」。
 精霊は了承しました。

 元々、理想郷にするために作った所でしたので怪我や病気などはありません。
 温暖で自然豊かで悪い害虫なども居ない。
 毎日穏やかで牧歌的に過ごせます。

 この街は外界とは閉ざされていますが、なんとインターネットのようなものがあり、情報だけならば外界との交流も可能です。
 小説や漫画や論文などなど外界と受発信しております。

 理想郷の存在を知ってしまった外界の人々はここに住めるようになろうと頑張り、世界が少し平和になったそうです。





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