其の二十四

【在りし日の世界】

 人は産まれた時、大きな祝福を受けます。
 周りの人全てが「笑顔」で迎え入れ「産まれて来てくれてありがとう」そういう空気から始まるわけです。

 幼子にとって「全世界」とは自分の目に見える範囲です。
 つまり全世界の人々から慈愛を持った目で見られ常に称賛を浴び、さらに何をしても注目の的で貴方を無視することはできず、お姫様扱いを受けます。

 幼子の「欲望」なんてお腹が空いたとかそれくらいしか無いでしょう。
 自分が思いつく限りの「欲望」は全て周りが叶えてくれます。
 周りは嫌な顔一つせず、むしろ「お役に立てて光栄。貴方の笑顔が見たい」と言う態度で欲望を叶えてくれるのです。
 これが一般的な人々の幼子の世界です。

 人は「正常」な状況が崩され「異常」な状態が続くとストレスを感じます。
 幼子の頃の世界が「正常」と心に刻まれてしまっている人間は大人になってからの世界では相当なストレスでしょう。

「魂に刷り込まれている」幼子の頃の記憶の「正常」な世界。
 それを取り戻そうと藻掻き足掻く。
 または「間違った」世界から救ってほしいと神にすがる。

 生きていれば色々な生き方があるでしょう。
 しかし幼子の頃の世界を「正常」とするならば、どんな生き方でも強いストレスが生まれます。
 人はどのように歩けば良いのでしょうか。



【事物】

 まずは抵抗から始まり、
 飽和と混乱を経て排他や融合をする。
 最終的に収縮し、吸収を以って終了する。



【白路言】

 格好つけようとするな。話を聞こうとしろ。
 格好つけようとするな。話を伝えようとしろ。

 出来る人間に見られようとするな。その場で必要な事をしろ。
 良い人間に思われようとするな。相手の気持ちを慮れ。
 モテようとするな。相手の幸せを考えろ。

 人と会話をする時、自分を弁の立つ人間だと思わせる事を考えて行動すると必ず破綻する。
 働く時、自分を有能な人間だと思わせる事を考えて行動すると必ず破綻する。
 友人知人と接する時、自分を素晴らしい人間だと思わせる事を考えて行動すると必ず破綻する。
 異性と接する時、自分を魅力的な人間だと思わせる事を考えて行動すると必ず破綻する。

 格好つけようとするな。話を聞こうとしろ。
 格好つけようとするな。話を伝えようとしろ。

 出来る人間に見られようとするな。その場で必要な事をしろ。
 良い人間に思われようとするな。相手の気持ちを慮れ。
 モテようとするな。相手の幸せを考えろ。



【アリムナのメルラギへの助言】

 アリムナは言いました。

 女は愛されたいと言う欲が何よりも一番最初に出てくる物。
 男の女に対する肉体的性欲が強烈な物だと言うならば、女の愛されたい欲は男の性欲に当たります。

 女が自分の容姿を一身に磨くのは愛されたいからで、例え性的に喜ぶ格好をしていても性的に抱かれたい訳ではありません。
 女の愛されたい欲は肉体的性欲とは関係無いのです。

 逆に受け入れられない者には愛されたくありません。
 なので女が嫌悪するとそれは徹底的な物になり慈悲はありません。

 もしも貴方が女の行動で不思議に思う事があれば、その女が愛されたいから、又は愛されたくないから、そういう行動をしてるのではと考えてごらんなさい。
 謎が解けるかもしれませんよ。



【興廃】

 故意の駄作で無いのならば、駄作の数に比例して良作が生まれる。
 駄作を排除して良作だけ残そうとした時、その文化は廃れてしまう。



【支配】

 食べたい物が嫌いな奴の国の食べ物だからって食べなかったら、
 嫌いな奴に心を支配されてる事になるぞ。
 食べたい気持ちは自分の物だ。気にせず食べろ。



【祝福】

 同僚の奥さんが出産した。

 周りの人々が笑顔一杯に祝福する中、私は複雑な思いだった。

 酷いサディストが創ったとしか思えない「人の世」に産まれてしまったのだ。
 どれ程の涙を流して生きる事になるのだろう。

 願わくば最期に幸せだったと言えるような人生を送ってほしい。



【神話】

 なるほど。
 神話の全ては比喩だったのか。



【信用】

 最も価値のある財産は「信用」である。

 権力者だろうが富豪だろうが信用を失えば裏切られる。
 逆に信用さえあれば稼ぎたい放題だしモテ放題だ。

 そんな貴重な信用を得る為に何をするべきかと問われても答えられない。
 信用を得ようと人に尽くしても下僕と思われてしまったら信用にはならないだろうし、誠実で正直であってもそれが信用に繋がるとは断言できない。

 信用を得る為の理論は無いのである。

 しかし何をすれば信用を失うかと問われれば、ある程度答えられる。
 悪意、悪態、愚痴。
 悪意を持った言葉を発し、悪態を晒し、愚痴を言う。
 これだけでどんどんと信用は失われて行く。
 
 信用を得る方法を模索する前に失われないようにするべきである。



【伏線】

 その辛さは結局のところ、
 幸せへの伏線だったりするんだよね。



【アナライズ】



秩が高い場合
 良い面:ルールや約束を守り、律儀で誠実なので信頼がおける
 悪い面:融通の効かない石頭。細かい事でうるさい

混が高い場合
 良い面:大らかで話しやすく、ある程度ミスしても許してくれる
 悪い面:ルールや約束などを軽視し、いい加減で危なっかしい

和が高い場合
 良い面:人付き合いを重視し、博愛で優しい
 悪い面:悪平等主義。同調圧力を常に迫る。嫉妬深い

独が高い場合
 良い面:他人の実力を素直に認め、相手が格下だろうと嫉妬はしない。良い意味で自分は自分、他人は他人
 悪い面:自分さえよければ、他人が苦しもうがどうでもいい。悪い意味で自分は自分、他人は他人

中央の場合
 良い面:寛容性が高く、争いを起こさない
 悪い面:居ても居なくても同じであり、魅力が無い。恋愛に置いても良い人止まり



【糧】

 現実が理不尽の無い理想郷だったのなら、
 萌えは生まれただろうか。



【登用教】




謳文
・全ての運命が神に因るものならば、神を憎んで人を憎まず。

教義
・自分と他人を比べてはならない
・他人と自分を比べてはならない
・自分と自分を比べてはならない

Dogma
・Don't compare yourself with others.
・Don't compare others with yourself.
・Don't compare yourself with yourself.

十指
・誰かの優しさを自分の実力と勘違いしてはならない。
・時間の本質は消去である。
・人の行動原理で一番強力なのは「危機感」と「使命感」である。
・男を「上手に騙す」のが女のつとめ。
 女に「上手に騙される」のが男のつとめ。
・手に入れる為に手を伸ばすのであって、
 手を伸ばせは勝手に手に入って来る訳じゃない。
・危機感、使命感、神秘性、人物性、欲望性、官能性の6つを持って物語とする。
・自分が無能で何も無い人間ならば、せめて背筋を伸ばして胸を張って生きろ。
 無能な上に背筋を丸めて俯いていたら、それこそ救い様が無い。
・幸せは理屈じゃないけれど不幸せは理屈である。
・「めげないこと」この一言に尽きる。
・楽しんでも1秒。苦しんでも1秒。



【萌求道】

基礎概念

 @萌えるか萌えないかが全ての価値観である
 A善行とは作品を作成する事や作品を支援する事である
 B自分と他を比べない
 C同調圧力の禁止
 D自分の考えを正義と思ってはならない


詳細説明

 @全ての価値観は萌えるか萌えないかであり、
  その他の要因(値段、真偽、国籍、人種、経歴などなど)は考慮しない。
  萌えるならば価値があり、萌えないのならば無価値である。

 A善行とは作品を作る事や作品を支援する事である。
  駄作でも良い、ありがちな内容でも良い、萌えると思う作品を作るのだ。
  作品を作る能力がなければ、自分が萌えると思う作品を支援するのだ。
  この行為こそが善行である。
  故に、悪行とは作品を作れない状態にする事である。
  そして、自分が高く善行を積んでいる事により、
  自分を他より徳のある者、優れている者と驕るのは穢れである。

 B自分と他を比べて卑屈になったり傲慢になったりしない。
  萌えとは自分の中にあり、他と比べるものでは無い。
  故に自分は自分、他は他とし、比べたりしない。
  また、自分と自分も比べない。
  普段の自分や過去や未来の自分とを比べるものでは無い。

 C同調圧力を禁ずる。
  同調圧力とは他がそうしてるのだから、自分もそうするべきと言う圧力である。
  こういった圧力に対し、公序良俗に反しないのであれば従う必要は無い。
  また同調圧力を他にかけてはならない。

 D自分の考えを正常と思うのは良いが、正義と思ってはならない。
  他との交流は新たな萌えの発見や既存の萌えの研磨になる。
  萌えを求めて他と交流をする場合、お互い違う考えでも、
  自分が正常であり他も正常であると言うのなら交流は可能である。
  しかし、どちらかが正義を主張すると交流は破綻する。
  正義を振りかざす事は視野や考えを極端に狭め、双方の心の害となる。
  交流相手が正義を振りかざすのであれば、どんなに惜しくとも交流を断つ事。
  唯一の正義は「可愛いは正義」それだけである。



【メゥリリー族】

容姿:
 見た目は小柄な美少女であり、髪は白に近い銀髪で瞳は赤い。
 肌は基本的に色白が多いが、褐色の肌の者もおり色白以外でも特に珍しくは無い。

 20歳前後で身体機能や容姿の老化が止まり、寿命で死ぬ5年くらい前から老化が始まる。
 平均して80歳前後の寿命だが、個人差があり100歳以上若いままの者も居る。
 健康への配慮が寿命の増減を決めるようである。

 体臭は弱く、入浴を1年しなかったとしても悪臭を放つ事は無い。
 しかし非常に風呂好きで休日などに一日中風呂に入っている事も珍しくない。

身体能力・労働:
 小柄な事から華奢に思えるが、魔法を身体に纏わせる事により高い身体能力を得ている。
 また魔法によって空を飛ぶことも可能。
 肉体労働や生命にかかわる仕事は魔法でゴーレムを生成して使役させている。
 家事や雑事もゴーレムに任せる事がある。

性関連:
 通常は女性の容姿だが魔法にて男性器の生成・消去が可能。
 子宮が無いため性交しても妊娠しない。
 妊娠したい際は魔法にて子宮を生成する。

宗教:
 メゥリリー族の宗教は九大神信仰である。
 統治と裏切りの神/始まりと終わりの神/躍進と混沌の神
 諧謔と憂鬱の神/安定と堕落の神/踊りと狂気の神
 美貌と傲慢の神/契約と私欲の神/慈悲と闘争の神

 各神にて教えに差があるが、共通の教義は下記の三つ。
 自分と他人を比べてはならない
 他人と自分を比べてはならない
 自分と自分を比べてはならない


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